音楽を聴いていて、自分の感覚で「こう来たら次はこう来るだろ」みたいなメロディーの流れと違う方向に行く曲ってあるじゃないですか。なんか初見でしっくりこないメロディーラインというか。
それとは真逆に一回聴いただけで覚えてしまうような耳馴染みのいいキャッチーな曲が、いわゆる売れ線とかカノン進行とか言うやつなのだろうか?
前者は覚えにくいがスルメ曲とか呼ばれてハマる場合があり、後者はキャッチーな反面どこかで聴いたような気がしたり飽きやすかったりすることがある。
何目線で喋ってるのか不明だけど私にとって『なないろ』は前者のほうで、なかなか覚えにくいメロディーラインだなーなどと思っていた。
でも『おかえりモネ』1週目の1話〜4話をぶっ通しで観た時、それが正解なんだと感じた。何目線ふたたびだけど。
朝ドラは毎朝の習慣として観ている人が多く、多分ほとんどの視聴者が主題歌はBUMPなんだとかそのBUMPがどんなミュージシャンなのかとかは意識してなくて
そんな人たちに1日1回、場合によっては1日2回、1週間に4〜10回ほど繰り返して聴いてもらうという条件下ではしつこくないメロディーとそれでいて一旦覚えたら覚えやすいサビのメロディーや朝ドラ!って感じのアレンジは最適解なのではないでしょーか。
そしてサウンドか爽やかなぶん、歌詞をじっくり噛み締めた時にじわーっと深く効いてきて最高じゃないですか?
ファンの贔屓目でしょうか。
そんなことをほざいてる私は、仕事の行き帰りで空を見上げてはサビのところの「高く遠く広すぎる空の下 おはよう 僕は昨日からやってきたよ」を頭の中で歌う。
ほんとに一旦入ったらすぐ出てくるサビだなーなどと感心したり
明るいメロディーとアレンジをバックに“すぎる”のたった3文字で主人公*の複雑な心境を表現しちゃうところ流石よな〜と藤原基央の作詞のスゴミを味わったり
この“まだ昨日のことも消化できてないまま昨日から今朝に引っ張ってこられた感”は自分がそうだからそれを勝手に感じ取ってしまうのかな?とか考えてみたり
「昨夜の雨の事なんか 覚えていないようなお日様を 昨夜出来た水たまりが 映して キラキラ キラキラ 息をしている」のところの、主観と客観(風景描写)を巧みに織り交ぜてここでも主人公の気持ちを絶妙に表現してるとこ!好き!ってなったりしている。
なんかやっぱり藤原さんの作詞ってすごいよな。噛めば噛むほどなんか出てくるんだよなー。
私の能力的にいっぺんに噛み砕ける量が少なくってちょっとずつしか分からないってのもあるけれども。
*ここで言ってる「主人公」は歌詞の中の主人公のことです。モネではない。
『おかえりモネ』まだ1週目しか観てなくて、2週目の録画は明日まとめて観ようと思っているのだけど
主人公のモネって既に心に傷(震災の体験)がある状態で物語が始まっているんだねえ。ろくに今までの朝ドラ観てないけどなんかそういうの珍しい気がした。
ポンツカで藤原さんが「BUMPのリスナーはなんらかの傷を持っている人が多い」というようなことを言っていたのを思い出した。
その言葉とは関係なく、1週目はモネが震災のことを思い返すシーンと「わたしには目指すものがない」的なことを話すシーンで泣いた。
まあ今は目指す夢がないモネさんもそのうち気象予報士を目指すんだってことは知っているんだけども。
自分自身は揺り籠から墓場まできっと夢なんて持たずに人生終わるんだろうなーと思いながら生きているので、モネのセリフよりもそれを受けたおばあちゃんではない人(なんだっけあの姫って呼ばれてるモネと同居しているけど親族ではない地元の名士の女性…)が「死ぬまで夢なんてなくて良い」的なことを言ったのに泣いたんだと思う。
泣きすぎて結膜下出血した。マジで年だわ。年取ったら泣くことさえリスクなんだわ。
勢いで気象考証の人たちの本を買ってしまった。