LOSTMAN NEED BLUES DRIVE MONSTERS

神経質で性格が悪い人のブログ。ブーメランな意見を述べがち。消しがち。更新が多いときは調子が悪いときです。更新がないときはもっと調子が悪いときです。

「生誕130年 河鍋暁斎展」 @兵庫県立美術館

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わたしが読了できた数少ない美術解説本のひとつ、『ヘンな日本美術史』(山口晃/著)にて

スタンダードな画の描ける、スタンダードな描法を持った人であり、王朝風の細密からユーモラスな大津絵様まで、他流にも通じた「一人オールジャパン」とでも言うべき、近世日本絵画の保管庫みたいな存在

 

古いものからも新しいものからも一歩も逃げないで、それらを伝統的な筆法、画法で片っ端から捌いてゆく

と評されていた河鍋暁斎

ヘンな日本美術史

耳鳥斎にハマったきっかけの「江戸の戯画展」(@大阪市立美術館にも暁斎の作品は多数出品されていて、その多くが浮世絵(版画)だった。

そのときの印象は「カエルとガイコツが好きな人で、赤色が目に痛い」という感じだった。

だが、“紙を継ぎ足して何度も描きなおしたネコの下絵”と、「明治まで活躍した浮世絵師がいた」ということは妙に印象に残っていた。

そのあと『ヘンな日本美術史』を読んで彼に興味が湧いていたところに、今回の展覧会があった。

 

手塚治虫記念館で「OSAMU TEZUKA MANGA NO KAMISAMAⅡ展」手塚治虫の原画がたくさん展示されているのに入館料700円の超高コスパ展覧会)を観た翌々週だったからなのかもしれないけど、

「手塚の時代に暁斎が生まれていたら、暁斎は手塚みたいになっただろうし、手塚治虫暁斎の時代に生まれていたら、手塚は暁斎みたいになったんじゃないか」と感じた。

サカナクションの『新宝島』の歌詞「丁寧に丁寧に」がずっと頭の中をグルグルするくらいの丁寧な線とか、表現したいものによって作風が変わるところとか。

絵が圧倒的にうまい人の、この線の確かさは何なんだろうね。

手塚展も暁斎展も、下絵や描きなおしなんかも展示されていたから、めちゃめちゃ試行錯誤しながら「本番の線」を確定していった痕跡を 見ることができるのだけど、完成品の線の確信に満ちてる感は半端ないね。絵がかけない自分にとっては神業でしかない。

行ってよかった。

 

しかしふたつ、残念だったことがある。

ひとつは、当日券のチケットがデザインチケットではなかったところ。(←いちゃもん)

もうひとつは、今回の展示作品のなかでいちばん気に入った『海藻問屋図』が、実物は大きい紙に160人もの人々が表情豊かに生き生きと描かれているというのに、購入した図録には人物の判別が不可能なほど小さく、不鮮明に収録されていたこと。

「個人蔵」だし、作品集じゃなくて図録だし。まあしょうがないっちゃーしょうがないんですけどね。

 

『海藻問屋図』は、「青刻昆布」なる商品を製造販売する商店の、“原料調達(漁なのか養殖なのか)から加工、パッケージング、出荷まで”が大きな画面に描かれている。おそらくその商店に依頼されて描かれたもの。

そのなかでも、奥のほうで女性たちが“網を整える”みたいな作業をしていて、赤ちゃんをおぶりながら楽しそうに作業しているひとたちが多数いて、ほかの作業のところにも小さい子供がはしゃいでるようなのがいて、何か好きだなあと思ったんですよね。

f:id:nagatsukinijiko:20190421165728j:image←これがその絵。ただし著作権(?)保護のため加工した。

これをまた見るために後期もまた行こうかと思うくらい好きだわ。